BtoB界隈においての取引条件についてまとめていきます。
取引先を増やし、売上を伸ばすには、取引条件も深く影響していると考えています。
締め払い取引
BtoB取引において、取引条件は近年までは、「締め払い」の取引が多かったのではないでしょうか?
「20日締めの翌20日払い」の場合は、20日に締めた金額を翌月の20日に支払うといった感じです。
例:7/21~8/20までの取引金額の合計を翌月9/20に支払う。
上記の場合、売主は、最大2か月間、買主に対して、売掛金が発生します。
(売掛金発生=信用取引 となり、買主が倒産すると貸し倒れとなる。)
売掛金が発生する為、取引開始前に”信用調査””与信判断”が必要となる。
売主側の審査で否決の場合は、取引が出来ないか・保証金を積む形となる。
そうやって、取引口座(アカウント)というものが出来上がる訳です。
そのプロセスが有る為、売主は、取引口座をむやみやたらに増やしませんし、増やせません。
(また、昨今では効率性の観点からも増やさない。むしろ取引口座を減らす売主は増えています。)
ただ、近年では、インターネット販売が主流となり、業界の垣根も低くなりました。
売主にとっても既存の取引先以外の新規取引先の獲得も重視せねばなりません。
ネット販売会社は、伝統的な与信審査では、低く見られる傾向が強く、また、
別業種の会社は、横の情報が少なく、判断しにくい状況となります。
保険や保証など
取引口座を増やすためのツールとしてあったのが以下のものです。
・倒産保険
・売掛保証
・ファクタリング
各社で条件や内容は変わります。詳細は、各社の商品をご確認ください。
取引先が倒産・破産した場合に貸し倒れ額を保険金として受け取れます。
・枠に対する手数料のタイプは、取引が少ない月などは費用負担高い。
・枠自体の金額が大きすぎるケースもある。
・夜逃げや延滞に対応しない保険も多い。
取引先が倒産・破産した場合に貸し倒れ額を保証会社が保証履行し返金されます。
・枠に対する手数料のタイプは、取引が少ない月などは費用負担高い。
・保険より手数料率が低い場合が多い
・夜逃げや延滞に対応しない保証も多い。
・既存債権にも掛けられる場合もある。
保険・保証は、内容としては同じような感じですが、契約内容・保証内容など様々なタイプがあります。
要は、売掛金の売買です。
入金期日前にファクタリング会社に販売する形式と倒産事案が有った際にファクタリング会社が買い取ってくれる形式があります。
前者は、どちらかというと「資金繰り」で使用する形式なので、信用補完という意味では、後者の方をお勧めします。(後者の方が手数料率は安いです)
・個別売掛金の買取なので、費用率は保険より安い。
・売掛金毎にで申請する必要がある。
従来型の上記の信用補完は、どれも小口取引には適していませんし、極度型(枠)の場合は、結果的に手数料率が高くなります。
また、中小企業には、費用も含め、なかなかハードルが高くなります。
カード決済
では、BtoBの小口取引に適した決済は、「カード取引」なのか?
カード決済は、上記で説明した「ファクタリング」と同じような仕組みです。
カード決済された段階で、売掛金を「カード会社」に譲渡しています。
なので、カード会社より入金され、実際の使用者への請求は、「カード会社」が行っています。
カード決済は、ECカートなど様々なシステムに搭載することが可能なため、決済の汎用性としては、非常に優秀で導入も容易です。
また、買主側も比較的抵抗感なく使用できるのではないか?と思うかもしれません。
BtoBにおけるカード決済の問題点
①限度額が少額である。
②1決済に対して複数の決済を分けられない
(注残・分納時の対応ができない。)
③カードの締日の関係で金額修正できない場合がある。
④そもそも買主がカードを使えない
「④そもそも買主がカードを使えない」という部分ですが、この部分は盲点で、普段ネットショッピングをしている人からするとカード決済は当たり前なのですが、個人が個人カードで決済するのと個人が法人カードで決済するのでは、全く意味合いが変わってきます。
まず、カードを所有している法人が案外少ない。
そのような場合は、個人カードで立替払いするしか無くなります。
また、法人カードの使用方法としては、基本的には、経費の支払いを一括で行う、立替払いを無くすという意味合いで導入されています。
月々、限度額も含め、結構な金額となる仕入を法人カードで行う事は想定されていません。
BtoBでのカード決済は、1回限りの取引や本当の小口取引先での取引に限定され、通常の継続的な取引の場合は、微妙かつ適さない。
企業間決済
そこで企業間決済
PAID、マネーフォワード決済に代表される「企業間決済」。
言ってしまえば「ファクタリング」なのですが、ECカートへの搭載のAPIも充実しており、理にかなった決済方法と言えると思います。
(カート連携の場合は、ここで買い物枠が消化される)
(買い物枠が消化され、決済される。)
(決済会社から一括で入金される。各得意先に請求書も不要)
買い物枠は、売主ごとではなく、決済会社で共通の枠となります。
分納時の強み
企業間決済の強みは、決済レコードを売主が作れる点です。
その為、分納において、カード決済とは違い、実態に即した決済となります。
5/1:100個の注文
6/1:30個出荷
7/1:70個出荷 の場合
売主の処理方法1
6/1に30個分の決済に修正。ーーー>7月入金される。買主は7月支払。
残り70個の注文は一旦キャンセルし、再度買主に発注してもらう。
売主の処理方法2
6/1は、出荷のみ
7/1に決済の承認を行う。ーーー>8月入金される。買主は、8月支払。
上記どちらの処理方法をとっても手間も多いし、実態に即していない!
6月1日 30個分の出荷(決済) ー>7月入金。買主は7月支払。
7月1日 70個分の出荷(決済) ー>8月入金。買主は8月支払
通常の取引の場合は、これが普通かと・・・
企業間決済の場合、買主から見ても、決済会社からは締日に請求書が来て、翌月に支払う形となるので、希望通り締め支払となっています。
取引先倒産時
取引先が倒産・延滞した場合でも、原則PAIDより入金されます。
なので、安心して取引することが可能です。
まとめ
カード払い、企業間決済ともに手数料がかかるので、手数料を気にする程、価格にシビアな取引には、どちらにしても合わないです。
ただ、請求処理も不要となり、与信状況を気にしなくて締め取引が出来るというメリットは、生産性アップというお題目にはピッタリです。
項目 | カード決済 | 企業間決済 |
---|---|---|
日付認定 | 出荷日(*1) | 出荷日 |
決済者(*2) | 買主 | 売主 |
注残・分納 | 出来ない | 出来る |
倒産時保証 | 大丈夫(*3) | 大丈夫 |
売主手数料 | 3%前後 | 3%前後 |
*2:決済者とは、決済レコードを作成する方です。
*3:カードの場合は、不正使用にて「チャージバック」の可能性が有ります。
実際の商売の流れ上、注文残高や分納なんてのはよくある事だと思いますので、
その際にも事務オペレーションがシンプルで一本化されている「企業間決済」がオススメです。
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